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ハルの記録

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服従/ミシェル・ウエルベック

このブログの読書感想文で取り上げる本は、読んで面白かった本しか取り上げないつもりでいるが、
あまりにもつまらなかったり、自分の考えと合わなさ過ぎて物申したくなったら取り上げるかもしれないと当初書きました。
結論から言えば、「服従」は本当に面白くなかったです。
途中で読むのをやめようかと思いましたが、ブログのネタになると思って最後まで読みました。
これから面白くなかった理由を挙げますが、長々と悪口を書いてもあまり読む気にならないと思うので、できるだけ短くまとめます。

①エンターテイメント性が乏しい
原文が悪いのか、翻訳が悪いのか、文学的な比喩や言い回しが皆無。
小説という括りで発売する以上、エンターテイメントの要素は避けて通れない。

②主人公の心理的葛藤が上手く描写されていない
2022年、大統領選を間近に控えたフランスで、イスラム政権が誕生するかもしれない。
その時に主人公はどうするか?フランスはどうなるか?
という設定で書かれている。
主人公はインテリでクールに振る舞っているが、粗野であったり同僚に嫉妬する部分もある。
けれど、醜い部分すら、インテリでクールな言葉で表現されており、心理的葛藤や緊張感にリアリティがない。

③解説が腑に落ちない
佐藤優氏の解説も腑に落ちなかった。
本で書かれている内容とは少し違うが、ネットでも読むことが出来る。(下記リンク記事参照)
世界で話題の「問題作」を佐藤優が分析!
〜フランスにイスラム政権が生まれたらどうなる?

以下、佐藤氏の解説から引用する。
人間が自己同一性を保つ上で、知識や教養がいかに脆いものであるかが本書から伝わってくる。現実の生活と結びつき、信者を殉教に追い込むことが出来るイスラム教が想定する超越的神の力にヨーロッパ人は、心の底から怯えているのである。
私は佐藤氏とは真逆の意見だ。
主人公の脆さは、守るべき信念がないことと、自身の醜さを認めるほどの覚悟がないことであり、知識や教養とはほとんど関係がない。
怯えているヨーロッパ人がいないとは言わないが、少なくとも主人公は超越神に跪いたのではなく、主人公の自己同一性を保つ為に超越神を利用したに過ぎないと私は思う。
知識や教養を売りにしている佐藤氏なら、知識や教養は道具に過ぎないことなどわかりそうなものだが、
知識や教養のない私には見えないものが佐藤氏には見えているのかもしれない。

悪口を連ねたが、この作品を通して学んだこともある。
①知識と教養は道具に過ぎず、それをどう活かすかが大事であること。
②投票はよく考えて行くこと。
③自分に素直になること。

※その他の本の感想は、この記事の一覧表を参照して下さい。



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